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  • >【コロナ禍でSNS始めたら話題に・・・】亀戸のスナックに行ったはずなのに、小料理屋の女将と絶品料理が出てきた

ある日のカメイドタートルズ編集部。

「うぅーーーー」

「なぁに?辛気臭い声なんか出しちゃって」

「亀島せんぱぁい・・・私、恋しいんです」

「お?恋愛の話?」

「飢えてるんです・・・家庭の味にっ!!!」

「あー・・・そっち」

自由に過ごせると意気揚々と始めた一人暮らし。
はじめは見様見真似でしていた自炊も、今やコンビニ・宅配におんぶにだっこ。

昨今の事情もあって今年は実家には帰れず、家庭の味に飢えて編集部で悶えていたのだった。

「そーだ!あなたにいい場所教えてあげる。今度の日曜日、亀戸の『銀河』に行ってみなさい」

「亀戸の『銀河』?」

さぁ、銀河へお行きなさい

先輩に教えてもらった『銀河』は、JR亀戸駅の北口から歩いて約5分。

あった!

亀戸の『銀河』が、スナックだったとは。

スナックと家庭の味にどんな関係があるのだろうか?

店先の看板にある「そばいなり」と「いかずし」の文字も気になる。

 

銀河の名物は青森県の郷土料理


「ごめんください、カメイドタートルズの・・・」

「あら、いらっしゃい。お待ちしてました!さ、こちらへどうぞ」

スタッフと思われる女性に促されるまま店内に入る。
中はレトロな雰囲気漂う王道のスナックで、まるでドラマのセットかのよう。


「亀島ちゃんから話は聞いてるわ。ちなみにこの人がこの店のママ。恵美子さん」


「はい、いらっしゃい」


「(か、貫禄がすごい)

「とりあえず、そのへんの席に座ってて」

「失礼します。私スナックって初めて来ました。こちらのお店はいつからやられているんですか?

「1982年からよ。今年で創業39年

「ええ!亀戸でお店を始められたきっかけは?」

「たまたまこの土地に店を持ってる人のところに嫁いだからねぇ。前はもう1軒あったんだけど、今はこっちのお店だけ

ママと話をしている最中、次々と運ばれてくる料理の数々。
店内に入ってまだ何も注文してないというのに、これはどういうことか!


「はーい。これで全部よ」

「亀島さんからね、うちの料理を食べさせたい子が今日行くからよろしくーって連絡もらったから作ったんだよ」

「せ、先輩。・・・にしても、すごくたくさんですね。サンドイッチに、キムチ。こっちは表の看板にあった、そばいなり と いかずしですかね?

「ええ。どれも今うちで出してるテイクアウト料理なの」

「いかずしって、押し寿司とかいか飯じゃなくって、中に野菜が詰まってるんですね

「そう。いかの中に入ってるのはキャベツの漬物。青森の郷土料理さ」

コロナ禍で始めたSNSで銀河級に広がる縁


「さっき、テイクアウト料理っておっしゃってたんですけど、ここスナックですよね?

「そうだよ。今こんな状況下でしょ?お酒を提供するお店だし。宴会料理とかで出していたのを日曜日に数量限定で販売してるの」

「そうだったんですね

「料理持ってきた彼女がSNSで宣伝してんの」

「SNSの中の人でーす。ちなみにあっちがレジの人」

「レジの人です。ごゆっくりどうぞ~」

「仕入れの状況を見ながら土曜日に告知をして、日曜日に予約と店頭販売をしてるんですよ」

「へぇ。SNSを始められたのは・・・Twitterは2021年1月、Instagramは2月からなんですね」

「そう。このコロナ禍でお店は開けられないけど、テイクアウトをやり始めるタイミングで一緒にね」

「どちらかといえばTwitterのほうが活発にやられていませんか?

「Instagramはやっぱり、映え写真が必要じゃない。それがね、なかなか難しくって(笑)」

「たしかに(笑)Twitterで亀戸のお店巡りの投稿や、他の亀戸のお店と交流などもされてるんですね」

「今までも色んなお店に行ってたし、交流もあったんだけどSNSをやってなかったからね。(SNSを)始めたことで他のお店と交流ができるようになったのは嬉しいよね」

「中の人が見えるアカウントで素敵です」

「SNS以外にも、このサンドイッチは私の担当よ」


「へぇー!たまごに、ポークに、チキン。すごいボリュームですね

「たまごサンドは沢庵、ポークとチキンは力士味噌が入っているの」

「わぁ。美味しそう!そして、この袋に付いてるポップもかわいい!」


「それは私のデザインなの!実は普段はそっちが本業で、日曜日のテイクアウトの日だけお店に入ってるのよ」

「そうなんですね!にしても、このサンドイッチも、いかずしも、そばいなりも。他のお店には無いメニューですよね」

「うちはスナックだし、普通の料理じゃ面白くないし、ありきたりじゃない。せっかくだし他のところがやってないものをって言って提供してるの」

「まぁ、お店開けてたときから頼まれれば何でも作ってたからね」

「た、頼もしい。」

ママの技術は銀河一「私、なんでも出来るから」


「ママが出来るのは料理だけじゃないんですよ」

私たちの話をニコニコ聞いていたレジの人から突然のタレコミが。


「カウンターの椅子カバーとか、壁に飾ってる折り鶴とか全部ママ。ついこの間もクッション作ったって」

「店内の胡蝶蘭もそうよね」

「お花のお世話もされるんですか」

「ううん。100均で材料買ってきて作ってたよね

「えええ!造花だったんですか!あれ!全然気が付かなかったんですけど!!!」

店内を飾るママこと匠の技の数々。


「昔の人間だから何でも作んのよ。今着てるのだって、古い着物を作り変えたやつだし」


「割烹着だって、丸襟が嫌いだから袖切って四角くしたりするし。買い物に出かけるとよく『それどこで売ってるんですか?』って聞かれるのよ

「ママってば、止まってられないのよね。マグロと一緒(笑)そういったところがテイクアウト始めた理由のひとつでもあるからね」

「すごい・・・え、ってことは、もしかして、このキムチって・・・」

「ああ。うちで漬けたやつだよ」

「てっきりどこからか仕入れていたものだと!なにかこだわりとかあるんですか?」

そう聞くとおもむろに席を立ち、何かを取り出す恵美子ママ。



「はい。材料」


「えええええ!!こういうのって普通企業秘密ってやつですよね!」

「別にそんな変わった材料は使ってないし」

「軽いなぁ、だめでしょ(笑)記事にするときはぼかし入れてくださいね」

「ですよねー(笑)このレシピは一から考えられたんですか?」

「前にもう1軒やってたって言ったじゃない。その近くに韓国料理屋とかが多くってね。そこのお店の人たちがポロッと話したレシピを覚えてさ。
あと、うちの店で働いてくれてた子たちも韓国の人が多かったから直接作り方を教わったのよ」

「ほぉ・・・ちなみにもし、この先お客さんからテイクアウトメニューに、リクエストがあったらメニュー増えたりしますか?」

「えぇ、嫌よぉ。・・・でもなんだかんだ
何でもできるわよ。握り寿司以外なら」

「握 り 寿 司 以 外 な ら ! !」

「あれはプロが握ってなんぼでしょ。・・・・・・まぁ、握ろうと思えば握れなくないけどさ」

恐るべし恵美子ママである。

先輩の粋なはからいで、初めて踏み入れたスナックという場所。
しかし、恵美子ママ、中の人、レジの人との会話は、まるで実家に戻ったかのような温かさがあり、出来ることならいつまでも居たいぐらいだった。

テイクアウトをした料理を家に持ち帰り早速食べてみた。

●そばいなり
:優しい甘さと出汁の効いたお揚げにくるまれたそばと、上に乗っている薬味(ゴマ紅生姜・ねぎ塩昆布・梅人参のしりしり)毎にそれぞれ異なる味わいが広がる。

●いかずし
:プリプリのいかの中にきっちりと詰められたキャベツの漬物のシャキシャキ感がたまらない、箸が止まらない味。ママがオススメしてくれたマヨネーズをつけて食べると格別!

●力士味噌のポークとチキンサンドイッチ
:ふわふわ食パンに挟まれたポーク・チキンの味を何倍にも引き立てる力士味噌。サンドイッチに味噌、新しい世界が広がった。

●沢庵たまごサンドイッチ
:少し甘めのたまごサラダの中で、カリカリの沢庵が良い働きをしている。正直無限に食べられるサンドイッチだと思う。

●自家製キムチ
:口に入れると広がる、魚介系の旨味×唐辛子の辛味×フルーツの香りと甘味のマリアージュ。このキムチだけでご飯もお酒も何倍も進む味。少し発酵が進んだ状態で食べてみようと思って頑張って残している。

本当にどれも美味しかった!お腹ははち切れるかと思ったが苦しい幸せだ。
また日曜日になったら買いに行きたいし、この状況が落ち着いたら絶対に先輩と一緒に飲みに行きたい!と思った夜だった。

 

スポット紹介

スポット名:銀河
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸5-10-2
電話番号:03-3684-1128
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 北口より 徒歩5分
営業時間:10:00〜18:00
※現在、毎週日曜日のみ営業。最新情報はTwitterをチェック。

Edit by カメイドタートルズ編集部