苦境に立たされてきた続けた飲食業界。そんなコロナ禍でも、負けじとオープンするお店もある。
ここ亀戸に、今年6月にオープンした「ハンバーガー屋」があることをご存知だろうか。
東京亀戸 VAN Zoo(バンズー)
亀戸駅東口より徒歩30秒、ビル2階にある。
「めちゃくちゃ立地いいですね!」
「早速いきましょうか。」
「いらっしゃいませ。」
ズラリと並ぶお酒の数々。黒板には「ドンペリニョン・ピンク ¥100,000」の文字が書かれている。そしてどう見てもバーテンダーがお酒を作っている。
「っスー。おっとぉ・・・?」
「あっ、すみません間違えたみたいです〜!」
「・・・。ハンバーガー屋ではなく、完全にバーでしたよね?」
「住所・店名は一致してるし、ちゃんと確認しましょうか・・・」
「いらっしゃいませ。」
「・・・。(どう見てもバーだなぁ)」
「東京亀戸 VAN Zooはここであってますでしょうか・・・?」
「あっております。そしてこの私が・・・」
「ここのオーナーでーす!!」
あまりにも唐突で衝撃的な自己紹介である。
「ハンバーガーだけに、ノリがアメリカンですね!」
「失礼なんですが、本当にハンバーガー屋なんですか・・・?」
「確かにこの棚を見たらそう思いますよね(笑)。でも本当にハンバーガー屋なんです」
「では証明してもらいましょう。おすすめを下さい」
「メニュー全てがおすすめなんですが、そういうことなら仕方がありません。お掛けになってお待ちください」
そう言うと調理場へ指示を飛ばし、オーナーも準備を始めた。テキパキとした動きを見るに、普段から作っているのは本当のようだ。
「お飲み物もおすすめで大丈夫ですか?」
「すみません、僕アルコール飲めないのでコーラでもいいですか?」
「もちろん!ト○とジェ○ー、サ○シとピカ○ュウの如く、ハンバーガーとコーラは相棒ですから!」
「・・・そ、そうですね!」
そう言ってコーラ、すだちのノンアルコールカクテルを作り始めた。一つ一つの動きが洗練されており、それは真似できるものではない。この姿にますます「ハンバーガー屋」とは、信じられなくなった編集部。
「おまたせいたしました。おすすめのVaNZooバーガー(黒)とVaNZooバーガー(白)、バッファローウィングです」
■VANZooバーガー(黒)
バンズに炭を練り込んでおり、もちもちな食感。全体的に通常の「白いハンバーガー」よりも軽く食べることができ、店主曰く「最初に食べて欲しいハンバーガー」とのこと。
■付け合わせ
ピクルスは自家製のものを使っており、市販のものよりも優しく、食べやすい味である。ポテトはカリッと揚げられており、振りかけてあるスパイス「マキシマム」が食欲を増進させる。
■VANZooバーガー(白)
「VANZooバーガー(黒)」よりもガッツリと食べることができる。「VANZooバーガー(黒)」よりもふっくらとしたバンズと、分厚いパティからなる濃厚な牛肉の味を感じられる。
■バッファローウィング
一度揚げてからソースを絡めることで、周りはサクッ、中はしっとりとした食感に仕上がっている。辛さは「本格派」と「マイルド派」から選ぶことができ、老若男女が美味しく食べることができる。
「見た途端に僕のDNAが『ハンバーガーをコーラで流し込め』と叫んでいます!」
「・・・食べるまではまだ分からないっ!」
「是非とも熱いうちにどうぞ!」
「頂きます!」
「頂きます!」
「満たされていく・・・幸福ってこういうことを表す言葉だと理解しました・・・」
「・・・このクオリティはバーで出せるものじゃない。ここは本当にハンバーガー屋なんですね」
「信じてもらえたようで何よりです」
「ハンバーガーを見て思ったんですが、店名の『東京亀戸 VAN Zoo(バンズー)』の由来って・・・」
「ハンバーガーのバンズですよ!ただそれだけでなく、動物園のZooも掛けてます」
「もしかして、お肉を動物園から・・・?」
「そんなわけあるかい!動物園って行くだけでもワクワクするじゃないですか。それに様々な種類の動物が見られる。家族連れ、酒飲み、若者が年代関係なく楽しめる場所にしたい。という思いが込められているんです!前職でバーテンダーをやっていたので、お酒を作るのは得意ですからね!」
「流石にキリンのハンバーガーは販売できませんもんね!」
「でもそれならバーでも良かったんじゃないんですか?」
「いやぁ、それじゃあダメなんです。だって・・・」
「それって同族を売っているってことになるんですか!?」
「いやいや、ハンバーガーなことを簡単に受け入れないで」
「物理的にハンバーガーではなく『ハンバーガーが好きな人』って意味ですけどね。子どもの頃から身近にあって、気がついたら好きになっていたんです。『小さい子が両親を好き』という気持ちと同じように、当たり前に好きだったんです。それに漠然とバーを続けるよりも、好きなものに携わりたかった気持ちがあります。なのでここは・・・」
「・・・なのかもしれません」
「ハンバーガー好きが作る最高のハンバーガーってことですね!」
「その通りです。そのVANZooバーガー(黒)を作るためにも、人形町、秋葉原など各有名店のハンバーガーを食べて回りました。そしてそのどれにも負けないハンバーガーを目指しました。作って味見、作って味見・・・。ひたすらその繰り返しをしていましたね」
「やはりVANZooバーガー(黒)の方がVANZooバーガー(白)より苦労したんですか?」
「そうですねー。竹炭を混ぜ込むと、焼いた時に膨らまなくなってしまうんです。しかも炭で汚れるので、毎回パンを作る機械を洗わないといけないという問題も発生してしまって・・・。何度もパン屋さんに断られました(笑)。そんな絶望を感じていた時、ハンバーガー屋をやっている地元の先輩が声をかけてくださり、今はその方に焼いてもらっています!」
「『類は友を呼ぶ』って言いますけど、ハンバーガー屋はハンバーガー屋を呼ぶんですね!」
「なぜコロナ禍の亀戸で開店したんですか?」
「実は亀戸が地元なんです!川崎や恵比寿でも働いてましたが、結局は地元に戻ってきたって感じです。正直コロナ禍での開業に不安はありました。しかし、ここの店舗が空いたタイミングを考えると今しかなかったんです!住んでいる家近いですし(笑)」
「駅を出て30秒の物件なんてなかなか空きませんもんね」
「よくこんな立地の良い物件が手に入りましたね!」
「本当に運が良かったんです。ここの前のオーナーが知り合いで、ちょうど店を辞めるという話をいただきまして・・・。そこから従業員と一緒に壁を塗り直したり、カウンターを作ったりしました!ほとんどリノベーションをしたので、前の店舗の雰囲気はほとんどなくなっています!」
「これ、ほとんどご自身で作られたんですか?」
「そうです!と言っても土台はプロの方がやってくださったんですが、上の一枚杉は自分で見繕いました。カウンターって傷や年季で味が出てくるんです。今までカウンターを挟んだ仕事をしてきたので、今までの自分を表す意味でもこだわりました」
「ハンバーガーだけじゃなく、美味しく食べるために内装までこだわっているんですね!」
「これは仕事帰りに食べて帰りたい欲が凄くわきますね!」
「そんな方にお知らせなんですが、6月開店だったこともあり、ハンバーガーを安く提供していました。しかし、近々値上げします!もう決定事項ですので、100%やります!つまりは・・・」
緊急事態宣言も解除され、世の中が再び動き出そうとしている今。忘れかけていた「食事の在り方」を思い出しに行ってみてはいかがだろうか。ハンバーガーとコーラのように、食事と会話は最高の相棒だということを。
スポット紹介
スポット名:東京亀戸 VAN Zoo
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸6-61-2 第2渡辺ビル2F
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 東口 徒歩30秒
営業時間:11時OPEN 24時CLOSE(L.O23時)早閉有り
Edit by カメイドタートルズ編集部