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  • >【前編】「おもしろ荘」出演経験のある元ロボット芸人と、ロボット入店歓迎の「こちる」を訪ねる

毎年、元日恒例の『ぐるぐるナインティナイン』の企画「おもしろ荘」が今年も放送される。
ブルゾンちえみwithBや日本エレキテル連合、おかずクラブ、小島よしおなどなど、この番組をきっかけにブレイクした芸人は数知れない。

今回、お呼びしたゲストは、そのおもしろ荘に出演した経験を持つ人物である。

この年齢不詳の見た目をしている彼の名は髙橋ちゃん。高校生と言われれば、そう見えなくもないが36歳である。


「あ、どうもこんにちは」

「突然ですが芸人オーラないですね」

「もう芸人じゃないですからね。元芸人です」

そう彼は、現在フリーで活動している。おもしろ荘、出演当時は人力舎所属の芸人で自作したロボットを相方にネタを披露していた。


「今は、何をされているんですか?最近多い事務所には所属しないフリーの芸人さん?」

「今年のR-1には出たんですが、1回戦で敗退しちゃいました。もう芸人としては活動してないですね。普通に会社員をしてました」

「なるほど、今回はお忙しいところご協力くださりありがとうございます」

「いえいえ、本当は年内いっぱい会社勤めするはずだったんですが、でも年末まで働くのはなんか嫌だなあと思って、前倒しで辞めたんです。そのタイミングでオファーを頂いたんでラッキーでした」

「ああ・・・」

正確には彼にオファーをしたわけではない。彼が脇に抱えているロボットに用があったからだ。


「これが、タキャクくんですか!」

「そうです。三代目」

何となくチキンヘッドに似合うかな思って。という理由で、某アニメキャラクターのコスプレをさせられているタキャクくん。彼と「無添加フルーツジュース専門店・こちる」を訪問したかったのだ。

その理由はこれ。

こちるが江東区初となる「Robot Friendly(ロボットフレンドリー)」のパートナー店舗になったのだ。

このロボットフレンドリーというプロジェクトは、最近増えたペットと一緒に行けるお店のロボット版。プロジェクトサイトには下記のように説明されている。

今、ロボットと生活する人が少しずつですが、増えています。例えば、外出が難しい人に代わって活動するロボットは、自らが外出することで、外で飲食を楽しむお手伝いをしています。また、長年人と共に暮らしているロボットは、一緒に暮らす人間たちと家族のような関係を築いており、同じ食卓でコミュニケーションをとりながら過ごしていたりします。
しかし、ロボットと家の外に出て行動することは、まだ一般的ではありません。
ロボットを連れている人は「入店できるのか」、お店側は「どのような対応をしたらいいのか」などと、それぞれに不安を抱えています。そこで、社会の中でのロボットとの暮らしを、一緒に考えてくれるパートナーが増えたらいいなと思い、「Robot Friendly プロジェクト」を立ち上げました。
Robot Friendly – Robot and Human societyより一部引用

初代AIBOが発売されてから、もうすぐ四半世紀。
家族の一員としてロボットを迎える人は増えた。携帯電話ショップではロボットが働いているし、つい先日にはフランスの障害者担当副大臣が、外出困難者である従業員が自宅からロボットをリモート操作して接客を行うカフェ「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」を視察したことがニュースでも報じられた。

すでに、工業製品の製造ラインといった限られた場所での活躍や、映画やアニメの中の存在ではなくなったのだ。
自分の分身であったり、仕事を手伝ってくれる同僚のような存在、ペットのように家族の一員として我々を癒してくれる存在でもあるのだ。

ただ、このタキャクくんは例外だと思う。

オガガガガガガ‥‥


「あの、何してるんですか?これ」

「震えています」

キャッシャン♪キャッシャン♪


「これは?」

「喜びの舞です」

見た目と動き、そのすべてが気持ち悪いのである。

 

タキャクくんには、くれぐれも奇妙な行動はとらないようにと厳重注意をしたうえで、小丸くんの待つこちるに向かった。


「人間、第一印象が大事!それはロボットも一緒。タキャクくん、ちゃんと小丸くんに挨拶するんだよ」

「・・・」

キャシャン!キャシャン!ガッコン!!ヴィーン


「ロボ感がすごい・・・」

「ロボですからね」

「でも、挨拶は完璧!タキャクくん、よくできました!小丸くん久しぶり!あれ?」


「めっちゃ嫌な顔してるじゃん!まーた面倒な客が来たよー。みたいな表情」

「ああ、充電中で眠かっただけですよ。だよね?小丸?」

グルングルン!キシャシャシャシャシャ


「コラ!タキャク!いちいち怒らないの!小丸くんが怯えているじゃない!二人はひとまずおいといて、お話いいですか?ロボットフレンドリーのパートナー店舗になられたとお聞きしました」

「そうなんです。まだまだロボットと一緒に町を出歩く人って少ないと思うんです。そのために周囲から浮いて、変な目で見られてしまいます。だから、人間でも、人間じゃなくても、かけがえのない誰かと同じ時間を過ごせる世界。を目指すこのプロジェクトに賛同してパートナー店舗になりました。うちには小丸やロボホンがいますから、以前からロボットを連れてくるお客さんは多いんです。先日の小丸の誕生日には、一日で3組もLOVOT(家族型ロボットのラボット)連れでご来店頂きました」

「分かります。まだまだ、世間の目は冷たいですよね・・・。実際、タキャクくんとここに来る道中でも、変な目で見られましたもん」




「それは、ちょっと違う気がします」

人間かどうかなど関係ない。大切な存在と一緒の時間を分かち合える。自宅以外でそれをできる世界を目指す、ロボットフレンドリープロジェクト。そして、そのパートナー店舗になったこちるは、まさにありのままで暮らせる町、亀戸にピッタリだと我々は思った。

次回、元ロボット芸人の髙橋ちゃんとタキャクくんを交え、ロボットと共存できる世界について深掘りをする。

 

スポット紹介

スポット名:こちる (cochill juice)
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸7-9-14 ビアーレ亀戸1F
アクセス:JR総武線亀戸駅 徒歩5分
営業時間:10時~20時
定休日:木曜日 ※年明け1月7日から営業

Edit by カメイドタートルズ編集部