皆さんは、このかえるのぬいぐるみをご存じだろうか。
このかえるのキャラクター、名前を「ピクルス」という。雑貨店やバラエティ番組『アメトーーク!』のスタジオセットで見たことがあるという人も多いのではないだろうか。
実は、このピクルスを作っている会社が亀戸にある。
しかも、大正8年創業の超老舗企業だ。
100年以上の歴史を持つナカジマコーポレーション
こちらが、株式会社ナカジマコーポレーション。
会社のロゴマークは亀を模した形になっている。創業した場所もここ亀戸だ。それにもかかわらず、なぜ亀ではなくかえるのキャラクターにしたのか。亀とかえるは同じ水陸両棲生物であるわけだし、甲羅を背負わせれば亀にすることだってできたはずだ。そんな疑問を抱きつつ、取材させていただいた。
ご対応くださったのはナカジマコーポレーションの広報の方。
ご本人は顔出しは恥ずかしいとのことだったので、社長と同じ名前のナカジマさんおよび、ピクルスのぬいぐるみがその身代わりとして出演してくださることになった。
ナカジマさん。彼が履いている靴は1,900円する。だてに社長と同じ名前を名乗ってない。
「本日はお時間頂きありがとうございます」
「宜しくお願いします」
「早速ですが、このナカジマコーポレーションさんって100年以上続く歴史ある会社なんですね」
「そうなんです。初代がこの亀戸の地で大正8年に創業しました。当時、亀戸は工場が多くある地域で、弊社(当時は中嶋製作所)はセルロイド製玩具の製造をしていました」
「そんな昔から玩具を製造していたんですか!」
「そうなんです。バービー人形やキユーピー人形の製造をしていました。ただセルロイドは発火性の高い樹脂で自然発火する危険性があったりと、徐々に素材として衰退していったんです」
「確かに、今はセルロイドの玩具って見ないですもんね。セルロイドと聞くとあのお宝鑑定団の人たちが鑑定する古い玩具のイメージがあります」
「そこで、浮き輪やビーチボールといった空気入り玩具の製造に乗り出したんです。一時期は都内のプールに行くとだいたい弊社製品というくらい、売れていたそうですよ。そして、それぐらいの頃に会社を亀戸から新小岩に移しました」
「え、大繁盛じゃないですか。それなのに亀戸から出て行っちゃったんですか?」
「はい、でも2年前に亀戸に戻ってきたんですけどね。ただ、空気入り玩具も海外から安い商品が入ってくるようになり、撤退することになったんです」
「そう簡単にはいかないんですね・・・」
「そこで、新たに始めたのがぬいぐるみ事業ですね」
元々はぬいぐるみシリーズの1キャラクターに過ぎなかったピクルス
「今でも続いていますが、サンリオさんのキャラクターやスヌーピーなど、他社ライセンス商品の製造を行うようになりました。そんな中、ピクルスというキャラクターが生まれます」
「ピクルスという名前だとは知らなったです。でもなぜ、かえるのキャラクターにしたんですか?会社のロゴだって亀なのに」
「実は、たまたま生き残ったのがこのピクルスだったんですよ」
「生き残った?」
「版権キャラクターではない犬とか猫とかのぬいぐるみがありますよね。実は、ピクルスもそんな動物のぬいぐるみシリーズの中にあった1キャラクターに過ぎなかったんです。これがそのスパイスミックスシリーズ」
「一応、コンセプトとして食べ物の名前をつけていたようなのですが、改めて見るとパンダのバンブー(画像下段左から2番目)だけ、人間の食べ物ではないですね」
「確かに、やっつけで名前を付けたような粗削り感がありますね。おかかネコ(画像上段右端)はネーミングルールから逸脱しているし、うさぎのウサピン(下段左から3番目)に関しては、なんとなく可愛らしい名前だからつけた感があります」
「一つ消え、もう一つ消え、と徐々に仲間たちが消えて行ったんです」
「おお・・・。で、唯一生き残ったのが、かえるのピクルスだったと。でもなぜ、かえるだったんでしょう」
「ぬいぐるみ業界の閑散期って梅雨時なんです。寒い冬はぬいぐるみがなんだか恋しくなる。でもジメジメしている梅雨時ってカビが生えそうなイメージがあるのか、売り上げが落ち込むんですよ。ですが、かえるって梅雨の生き物じゃないですか。雑貨店に傘などと一緒に置いてもらったことで、閑散期でも売れ続けたんです」
「なるほど!納得の理由です!ただ、一つだけ言ってもいいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「いや、かっぱのお前は頑張れよ!!!」
梅雨時に生き残ることができなかった、かっぱのモロキュウ
スポット紹介
スポット名:株式会社ナカジマコーポレーション
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸 6-1-8 亀戸トーセイビルⅡ
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 より徒歩7分
Edit by カメイドタートルズ編集部