亀戸駅前を横切りながら北へ向かって伸びる国道306号線(明治通り)。
車の通行量も多く、亀戸駅から亀戸天神社などに向かう際の主要道路となる道ですが
毎週、祝日と日曜日に限り、12:00〜17:00の間は完全通行止めとなります。
通行止めの区間は「亀戸駅北口の信号から、国道315号線と交差する亀戸四丁目の信号(交差点)まで」で、なんのために通行止めにするのかというと……
歩行者天国!!!
地域の方が「亀戸十三間通り」と呼ぶこの通りは約400m続く商店街。30年間の歴史があると言われてるんですね!
みなさん、知っていましたか? 江東区亀戸には歩行者天国があるんですよ?
歩行者天国といえば銀座? 秋葉原? 新宿? NO NO!
歩行者天国といえば亀戸十三間通り商店街〜!!!
そして、この歩行者天国を盛り上げるために活動している人たちが……
大道芸人さんたち!!!
亀戸の大道芸の歴史はたった1人のパフォーマーから
(▲大道芸を見に集まる亀戸の子供たち)
現在、亀戸で行われている大道芸の始まりは今から7年前の2012年のことでした。
亀戸出身のパフォーマー・鷹島姫乃さんが歩行者天国として開放されたスペースを見て
「何か自分にできることは無いか?」
「子供から大人までを楽しませて、この歩行者天国を有効活用するアイディアは?」
と考え抜いた末に始めたのが、この大道芸だったのです。
毎週のように歩行者天国でパフォーマンスをするも、最初は見向きもされなかったという鷹島さん。
しかし、1年、2年と活動を続けていく中で人々の反応も変わっていきました。多くの方が足を止めてパフォーマンスに注目するようになり、少しづつ亀戸の街に大道芸の文化が浸透していったのです。
そして鷹島さんは2014年に一念発起し、大道芸の先輩やパフォーマーの仲間たちに声をかけました。こうして開催されるようになったのが毎月1回の「亀戸大道芸」です。
この「亀戸大道芸」をきっかけに大道芸の文化が亀戸の街に深く浸透していきました。亀戸に集まる大道芸人たちは亀戸十三間商店街、亀戸香取商店街、亀戸中央通り商店街といった地域の各商店街、亀戸観光協会、地元の方々の協力などを得て、活動の幅を増やしていったのです。
(▲2016年に行われた「亀戸大道芸フェスティバル」のフライヤー。亀戸の各商店街と亀戸梅屋敷の協力の元で行われた)
2014年から現在に至るまでの5年間、亀戸の大道芸は
・歩行者天国で開催される「亀戸大道芸」
・亀戸香取商店街での金曜屋台村にて行われる大道芸(現在はかめいど香取勝運大道芸と呼ばれ、土曜日に行われる)
・亀戸梅屋敷とのコラボイベントである「ビアガーデン大道芸」や「お正月大道芸」
などと共に成長していきました。
鷹島さんがオーガナイザーとなり、2016年には亀戸で初となる大道芸フェスティバルが開催されるなど、大きなムーブメントをつくりあげていったのです。
今も亀戸にたくさんの大道芸人たちが集まるのは、このような歴史が背景にあるんですね!
(▲アンティークドールになりきるパントマイムの「アンティークドールリリー」。3時間この体勢から動かなかった。まばたきもせずにスゴイ)
(▲動き回る石像パフォーマー「グレイスト」。子供はそれを楽しげに追い回す)
(▲子供と触れ合う猫の大道芸人「猫のアーサー」。ハイタッチするととシャラーン♪と音がなる)
【インタビュー】ハードパンチャーしんのすけさん
鷹島さんからバトンを受け取り、2019年から歩行者天国で開催される「亀戸大道芸」を牽引しているのが大道芸人・ジャグリングパフォーマーのハードパンチャーしんのすけさんです。
今回、しんのすけさんにお話を聞く機会がいただけたので色々と聞いてみました。
–亀戸で大道芸をやるようになって、感触はいかがですか?
最初は正直、客の反応を見て「厳しいな」と思いましたね。サンストリートなどでレベルの高いプロの芸を見慣れているせいなのか、亀戸の人々は良い意味で目が肥えてるんですよ。だから、生半可なパフォーマンスではなかなか満足させられないような雰囲気でした。
でも、やり続ける中で熱心に応援してくれる人や大道芸を楽しみにしてくれている子供たちが増えていったんです。やはり人情の街ですよね。
今では大道芸とか関係なく街を歩いている僕に声をかけてくれる人たちがたくさんいます!
–この十三間通り商店街の歩行者天国という環境は大道芸人にとっていかがでしょう。
この十三間通り商店街の「亀戸大道芸」は、すごく自由にやらせてもらっています。大道芸人にとってはありがたい環境ですよね。実は今回集めた大道芸人さんたちの何人かは、僕も初めて顔を合わせた方々なんです。いつも公募で集めると亀戸という街や歩行者天国に魅力を感じるのか、たくさんの大道芸人が集まってくれるんですよ。前は名古屋からわざわざ来てくれた人がいましたね。僕たちは誰でもウェルカムなので。
僕は大道芸というのはOPENな文化でやるべきだと思っているので、あえて仲の良い芸人や仲間を集めたりはしません。閉鎖的にはならないようにしています。色んな芸事ができる人に毎回、来て欲しいですしね。
現在は道を歩いている歩行者の数的にも今日ぐらいのパフォーマーの数(5〜6人)がちょうど良い規模だと思いますけど、スペース的にはまだまだ使い甲斐がある。もっともっとたくさんの人が来て欲しいですし、大道芸以外の催しとか、大道芸と商店街が一緒になってお店を出すとか、そういう取り組みがあっても良いですよね。亀戸にはまだまだ面白いお店がたくさんあるし、それを紹介するために僕たちがいる。
大道芸だけ盛り上がるんじゃダメで、この商店街を盛り上げる一つのきっかけとして大道芸があるべきだと思っていますし、多くの人が亀戸に来てくれるようになれば結局、僕たちも盛り上がるんです。
–しんのすけさんの目から見て、亀戸はどんな街だと思いますか?
僕は門前仲町とかに住んでいたこともあって江東区には昔から縁があるんですけど、亀戸は大らかですよね。この商売、お客さんとの関係性を悪くして自ら潰れていく人も多いんです。やはり騒音とかの問題もあるし、僕なんか火を吹いたりすることもあって(笑) でも、大きなトラブルになることもなく、ちゃんとわかって許してくれる。
僕が道のゴミを拾いだしたら、それを見ていた大道芸のファンの方や亀戸の街の人たちが手伝ってくれたりして。人と人がすぐ繋がれる街なんだなって思いますね。
–最後に一言、お願いします。
僕たちは「亀戸の街が盛り上がって欲しい」という、その一心で大道芸をやっています。人を集める大道芸は街の接着剤なんです。
人と人とが繋がる場所として大道芸があり、それが街の画をつくる。だからたくさんの人に来て欲しいと思います。
歩行者天国の情報
住所: 〒136-0071 東京都江東区亀戸2丁目26−10
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩1分
実施日時:毎週日曜日および祝日の12:00〜17:00
Edit by カメイドタートルズ編集部