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  • >【鉄腕ダッシュでも紹介された】161年の歴史をもつ幻の大根、亀戸大根。

JR亀戸駅の線路脇で「ある野菜」が育てられていることをご存じだろうか。

以前、亀戸で見られる奇妙な光景をまとめた記事で簡単に取り上げたが、JR総武線の錦糸町方面に向かうホーム側にその畑はある。
ここで育てられているのは、亀戸の名を冠する大根「亀戸大根」。

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そもそも亀戸大根とは

亀戸大根は、1860年〜1864年頃の江戸時代末期に、亀戸香取神社の周辺で栽培が始まったとされる。当時は「おかめ大根」や「お多福大根」「福分け大根」といった名前で流通していたが、大正時代初期に産地の名をつけて、亀戸大根と呼ばれるようになった。

そんな亀戸大根は、一般的にスーパーで販売されている大根とは異なり、大きさ(根の部分)は30㎝ほどと短く、先端はくさび状に尖っていて全体的に小ぶりなのが特徴だ。

また、香取神社周辺で栽培されていたということもあって、平成11年には香取神社に亀戸大根の石碑が建てられている。

にんじんほどの大きさで、ほどよい苦味が特徴の亀戸大根。江戸時代の頃は現在のような大ぶりの大根が出回っていなかったこともあり、根と葉を一緒に浅漬けにして食べられ、江戸っ子から人気だったという。

亀戸が宅地整備化されたことに伴い、亀戸内で亀戸大根を生産する農家は途絶えてしまったが、現在も葛飾区などで亀戸大根を生産する農家が3軒あるほか、亀戸内の小学校や記事冒頭で紹介した駅のホームなどでも栽培されている。

 

亀戸大根の銘板

五ノ橋通りの街路灯や香取神社では、亀戸大根の銘板を見ることができる。亀戸の「亀」と大根を模した「戸」を合わせた銘板だ。
この銘板に触れることで、香取神社に建てられた石碑をお参りするのと同じご利益を得るとも言われている。

 

亀戸大根を使った料理

さて、江戸時代では浅漬けとして広く食べられていた亀戸大根だが、生産数が極めて少なく、現在ではなかなかお目にかかれない。しかしながら「亀戸升本」にて、亀戸大根を使った料理を食べることができる。

「亀戸大根あさり鍋」や「亀戸大根たまり漬け」、お土産品として販売されている「勝運まんじゅう」には、亀戸大根を使用した餅が入れられている。


 

亀戸各地で育てている「亀戸大根」

亀戸にある福地写真館の3代目代表である福地憲一さんに、亀戸大根についてお話しを聞いた。

———亀戸駅で栽培し始めたきっかけについて

約20年前、農家出身の駅員さんがいたんですよ。ちょうど花壇の整理をしているところで、亀戸大根の話をしたら「じゃあ亀戸のためにも育てようか」となったんです。以来、駅員の変更などで途切れたりもしましたが、現在まで続いているんです。

———毎月、何月頃から育て始めるんですか?

毎年10月頭に亀戸大根の種を各所に配っています。
亀戸駅での栽培はもちろんですが、亀戸内の小学校や駅前商業施設、亀戸内の企業さんにも育ててもらっています。
そこで栽培された亀戸大根は、香取神社に奉納し、毎年3月の第二日曜日に「福分けまつり」として、亀戸大根を子どもたちや地元の方に振る舞っています。奉納は一般の方でも可能なので、個人的に育てて持ってきていただいても大丈夫です。

2022年の福分けまつりだが、残念ながら新型コロナウイルスまん延防止のため、3年連続の中止となってしまった。
しかし、各小学校や企業のみを呼び、亀戸大根を奉納する「亀戸大根収穫祭」に関しては開催されたため、後編ではその様子をレポートする。

 

スポット紹介

スポット名:亀戸香取神社
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸3丁目57−22
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 北口徒歩9分

Edit by カメイドタートルズ編集部